ArcGIS Desktop 10.7または10.7.1で動作するようになりました。
計算格子間隔の設定方法に機能が追加され、より自由度の高い効率的な格子間隔が設定できるようになりました。
従来の格子設定では、格子の間隔、個数、ストレッチ率を指定することで計算領域の格子を設定していました。本バージョンでは従来の設定方法に加えて、格子の水平方向の間隔をポリゴンの属性で指定できるオプションを追加しました。これによりターゲットとなるエリアに確実に指定間隔(水平方向)の格子を設定できるようになりました。本方法では風向によって消費する計算格子の数が変わってしまい計算領域の大きさも影響をうけますので、計算領域を指定することで、風向によって格子数が自動的に可変するオプションも設けています。
従来は、鉛直方向の格子間隔は地表面付近が最も細かく上空へ向けて段階的に間隔が広がる設定でしたが、今回、鉛直方向にも任意に高さを指定できる設定機能を追加しました。これにより、建物屋上付近など任意の高さに詳細な格子を集めることが可能となり、屋根部の剥離現象を詳細に再現することが可能となりました。
複雑な形状の周りの風のシミュレーションに使用するマルチパッチは完全なソリッド形状である必要がありました。本バージョンの機能改良により形状内部に不要な面があっても物体の内部と外部の判定ができるようになりました。例えばBIMによる建物データ(RevitファイルのインポートにはArcGIS Proを利用)からでも、建物の外壁に沿った形状で計算格子を作成できるようになりました。これによる複雑な建築設計図面からシミュレーション用のソリッドデータを再作成する労力が削減され、3Dデータの利活用の幅が広がります。
従来の流入風設定は、べき乗則による指定もしくは気象モデルからのプロファイル取得でしたが、今回、任意の数値によるプロファイル指定が可能になりました。これにより風洞実験や建築基準法の粗度区分などのプロファイルに合わせたシミュレーションが容易になります。
計算格子として作成されたマスクデータ(物体形状データ)を“STL形式”で出力可能となりました。 STL形式は3次元形状のデータを交換するための事実上の標準フォーマットです。 他のCGソフトやCFDソフトへの計算格子形状の受け渡し、3Dプリンタからの立体模型の出力が利用可能です。
時流入変動風を再現するため、風上部にラフネスブロックを模擬した形状をパラメータ設定で配置できるようになりました。ラフネスブロックの大きさや間隔はパラメトリックに指定でき、風向毎にラフネスの形状モデルを用意する必要なく流入変動風を考慮したシミュレーションが可能となります。
シェーディング、ベクトルや流跡線などの可視化結果をKML形式で出力できるようになりました。 KMLファイルをGoogle Earthなどのアプリケーションで解析結果を3D表示できます。
シェーディングや等値線、ベクトルなどの可視化方法では、計算格子に沿った軸だけでなく斜めの断面での可視化も可能になりました。
内部処理のマルチコアCPU対応により、計算結果のNetCDF出力などの処理が高速になりました。