ArcGISのデータを活用した風況解析
Airflow Analystは地形データや建物形状データといった一般的なGISデータを、風況解析に活用することが可能です。
これは、従来の流体解析ソフトウェアが要求するような、モデルデータの変換や再モデリングという手間が一切不要で、そのままシミュレーションに使えるため、非常に効率的です。
地形データ
地形データについては、ArcGIS Proで標準で配信されている世界中の標高データが利用可能です。これにより地形を対象にした気流の解析の場合、新たにデータを用意する必要がありません。
また、オリジナルの地形データを使用したい場合は、衛星画像やドローンから生成したDEMなども活用できます。
建物データ
建物はについては、ArcGIS Proがサポートするさまざまなデータが利用可能です。
これには①高さ情報を含むポリゴンデータ、②マルチパッチフィーチャークラスが含まれます。
PLATEAUなどのオープン3Dデータ、AW3Dなどの市販の3Dデータ、BIM/CIMの設計データ、3Dモデリングソフトで作成された3Dデータ、ESRI City Engineで作成した市街地データなど、様々なデータを組み合わせて解析することも可能です。。
これらの機能により、風況解析はより効率的で精度の高いものになります。
直感的な操作環境による計算格子の生成
風況シミュレーションでは、「計算格子」という三次元格子を作成します。この計算格子の細かさは、シミュレーション結果の精度に直接影響を与えます。
Airflow Analystにおいては、ユーザーが作成中の計算格子を地図上で3次元表示できる特長があります。さらに、ユーザーの設定に応じてこの格子はインタラクティブに変更することができます。
そのため、ユーザーは計算領域の範囲や地形・地物に対する格子間隔の細かさを、直感的に3次元で確認しながら設定することが可能です。これにより、ユーザーの意図した設定により精密な風況シミュレーションを実行することができます。
LESによる高度な非定常解析をPCで実現
Airflow Analystは時間と共に複雑に変化する風の動きを忠実にシミュレーションできるLES(Large Eddy Simulation)ソルバーを採用しています。
一般に、LESは計算に多くの時間を要するとされていますが、Airflow AnalystのLESはマルチコアCPUに最適化されているため、一般的なパーソナルコンピュータでも数時間で結果を得られます。
さらに高速な演算を得意とするGPUを搭載したパソコンを使えば、CPUの数倍の計算速度が実現します。
これにより、風の動きを迅速に確認でき、設計者は風を考慮したデザインや問題解決のための策定に集中することができます。
わかりやすい表現・可視化機能
ArcGIS Pro 3Dの表示機能を独自に拡張した結果、流体現象のさまざまな視覚化が可能になりました。
表示領域はインタラクティブに操作でき、3Dアニメーションで表示することが可能です。これにより、流れの構造を非常に直感的に理解し、地図上でプレゼンテーションを行うことができます。
さらに、解析結果に対する統計処理やフィーチャクラスへの変換も可能です。
これにより、ArcGISの強力な空間分析評価を活用して結果を分析したり、マップとして出力して共有することが可能となります。
統計情報の出力
流体解析の結果は時間の経過と共に変化する非定常解析となります。
風速やガス濃度など、時間とともに変動する量を定量的に評価するため、時系列データの統計処理を可能にしています。
シミュレーションの後段で、統計処理として、各格子点における各種変数(風速、ガス濃度など)の平均値、最大値、最小値、および標準偏差を計算し、出力することができます。
これにより、時間を通じての変化をより明確に理解することが可能になります。
透過壁の設定
樹木や防風ネットは風を弱めて透過させる特性を持っています。
Airflow Analystでは、地図上の形状に対してこの透過壁の性質を割り当てることにより、透過する風の効果を模擬することが可能です。
その結果、植栽や防風ネットが風環境にどのような影響を与えるのかを考慮したシミュレーションが実現できます。
これにより、より現実的な風環境の評価と解析が可能となります。
拡散や熱対流のシミュレーション
計算領域内に拡散源を設定することで、その地点から放出されるガスやその他の物質が周囲にどのように拡散するのかを分析することが可能です。
これにより、拡散範囲や濃度の解析が可能となります。これは、様々なシミュレーションシナリオで物質の拡散パターンや換気の効果を把握する上で有用な情報を提供します。
Airflow Analyst評価版ダウンロード
体験期間:約1ヵ月
体験版と製品版の違い:計算できる格子数に制限あります。
動作条件:
・ArcGIS Pro3.0以上
・OpenGLで動作するグラフィックボード
・メモリ12GB 以上推奨