ArcGIS Proを風況解析に利用する10のメリット
イントロダクション
2022年には、ArcGIS Desktopは完全にArcGIS Proへ移行することになりました。
最新版のArcGIS Proに対応したAirflow Analystを利用することで、風況解析ユーザにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
実は、この革新的な変革には非常に多くのメリットがあります。どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
ArcGIS Pro版に移行するメリット
1.32bitアプリから64Bitアプリへ
Airflow Analystのソルバーはもとより64Bitアプリケーションでしたが、計算格子の生成などArcGIS Desktop上で動作する部分は、ArcGIS Dektopと同じ32bitで動作していました。32bitで動作するアプリは使用できるメモリに上限があるため、PCにどれだけメモリを積んでいても一定以上の処理ができないという制限がありました。大規模な計算格子を作成したり可視化したりする際にこの上限に到達して、正常に動作しない場合がありました。これに対して64BitアプリであるArcGIS Proは利用できるメモリ空間が大幅に増えましたので、事実上制限なく計算格子が作成できるようになりました。(大規模すぎる計算格子ではソルバー側や可視化側でファイルが巨大になりすぎるという新たな制限はありますが・・・)
2.シングルコアからマルチコア対応アプリへ
ArcGIS Desktopはシングルコアで動作するアプリでしたので、近年のマルチコアを有する高速なCPUを搭載したパソコンであっても、その中の一つのコアまでしか利用できませんでした。(一部、ジオプロセッシングツールではマルチコア対応)これに対して、ArcGIS Proはマルチコアマルチコア対応アプリなので、計算格子の作成や計算結果の可視化においても複数のCPUコアを有効に使用して高速な処理が可能となりました。
3.3D Analyst Extensionが不要に
ArcGIS Proでは3Dデータの編集と表示の機能が基本機能に統合されました。Airflow Analystではこれら3Dデータの扱いと結果の可視化のために別売のAirflow Analyst Extensionを必要としてきましたが、ArcGIS Pro対応の後は、3D Analystは不要となり導入費用も大きく抑えることができました。
4.3Dで利用できるオンラインマップが多彩に
地形・航空写真・地形図などをオンラインで取得して背景地形図として利用できます。地理院地図だけではなく高品質な地図や写真が自動的に取得できます。
5.解析のための標高データの準備が不要に
ESRIがオンラインで配信している標高データは、世界中で一般に入手できる最適な品質の標高データになります。
Airflow Analystではこれを地形データとして利用し計算格子を作成できるため、ユーザは地形データの準備なしに解析が可能です。
6.3D建物の編集が可能に
ArcGIS Proのマルチパッチ編集機能により、簡単な建物形状のモデリングはArcGIS上で可能です。3Dモデリング用のCADソフトを使わずに、構造物による風の影響をシミュレーションで確認可能です。
7.BIM・CIMデータの対応が進化
ArcGIS Proでは建物や土木設計を3次元的に行った際のデータ取り込みが進化し続けています。Airflow AnalystではこうしてGISに取り込まれたBIMデータを用いて計算格子を作成する機能
8.より美しい3Dモデルの表現が可能
影や反射の効果
- 水面の反射や地表に落ちる構造物の影など、環境の情景を表すレンダリングが進化しています。
アニメーションシンボルにより回転する風車の描画
- ブレードが回転する風車モデルなどアニメーションする3Dモデルの配置が可能になり、風況の可視化における情景の表現が高まりました。
9.任意の断面を表示可能
地形や建物をスライスする機能がありますので、手前の地形を非表示にしたり、構造物の断面を表示するなどにより、そのままでは見ずらい場所の流れの様子を可視化することが容易になりました。
10.ArcGIS標準の4次元メッシュデータ可視化機能(VoxcelLayer)の実装
ArcGIS Proで新しく実装されたVoxel Layerでは、空間の4次元的な様子を可視化することができます。Airflow Analystは計算結果をこのVoxcel Layerで出力する機能を備えていますので、ArcGIS Proだけで可視化したい場合や、ArcGIS Onlineで計算結果を公開したい場合などにも対応できます。
(番外編) GIS上で写真解析による3Dモデルの構築(New)
まとめ
以上、ArcGIS Pro版のAirflow Analystには多くのメリットがあります。すでにArcGIS Desktopは販売を終了しており、今後はArcGIS Proしか購入できませんので、Airflow Analystもどちらを利用するか悩むケースはほぼないかと思いますが、今一度ArcGIS Pro版に移行するうえでのメリットを整理してみました。
ArcGIS Pro版を利用する上での注意点としては、高機能ゆえにPCの必要スペックが高くなることが挙げられます。特にグラフィックを滑らかに動かすためには、専用のGPUが搭載されていることが重要になります。Airflow AnalystはOpenGLを用いて描画を行っていますので、OpenGLに対応したGPUを搭載したPCをご利用ください。
Airflow Analyst評価版ダウンロード
体験期間:約1ヵ月
体験版と製品版の違い:計算できる格子数に制限あります。
動作条件:
・ArcGIS Pro3.0以上
・OpenGLで動作するグラフィックボード
・メモリ12GB 以上推奨